先生は研究している
(2024年12月 港区お台場アカデミー学校運営協議会だより)
学校の教員,お台場でいえば幼稚園,小学校,中学校の先生方は,学習指導,生活指導,保育を行うだけでなく「研究」をしています。教員は「自己の崇高な使命を深く自覚し,絶えず研究と修養に励み,その職責の遂行に努めなければならない」ということが法律で定められているということが理由のひとつです。
しかし,法律で決まっているからというよりも,研究を重ねていくことでしか「よい」教育を行うことができないことが本当の理由でしょう。絶対的に「よい」教育の方法や内容はありません。子どもと先生を取り巻く環境は日々変わっていきます。育むことが求められる能力は時代の影響を受けます。遊ぶこと,学ぶこと,教えることに使える道具は次々と新しいものが出てきます。これらの変化を踏まえつつ,子どもが大人になったときにどうあればよいのかを見通しつつ,少しでもより「よい」教育のありかたを研究し実践するのが,先生方の仕事が専門職であるゆえんです。
幼稚園では,年齢の違う幼児同士が関わり合う中で,様々な人と共生しながら,たくましく,しなやかに,幸せに生きていく力の基盤が育つ環境構成や援助の工夫を研究しています。幼児自ら思いをもち、遊びや生活の中で学年を超えて関わり合う姿に成果が表れてきています。
小・中学校では,児童・生徒が自分で学び方を選び深く考える学習ができる授業づくりを研究しています。この10月には全日本教育工学研究協議会全国大会の会場校として,学校が研究して作り上げた授業を公開し,全国各地の小・中学校の先生方や研究者にご覧いただきました。授業中できるだけ多くの時間を児童・生徒が自身でしっかり学べるように計画されていることや,多くの児童・生徒が楽しそうにのびのびと学習に取り組んでいる姿を評価していただきました。また,2名の先生方は個人研究発表も行いました。
研究とは,単に調べ物をすることでもなければ,何かを発見したり発明するということでもありません。新しい知を生み出し,その成果を長い歴史の中で受け継がれてきた知の体系とともに紡ぎ,次の世代に受け渡していくことです。先生方はこのような営みを日々行なっているからこそ,子どもがまわりの人,もの,ことと関わり合いながら深く考えて問題を解決する学習や活動を仕掛け,これまでにない知識や価値を創造できる大人になれるような教育を行うことができるのです。
学校運営協議会では,有識委員が学校・園の研究に対する指導助言を行ったり,地域住民委員が研究公開当日のお手伝いをしたりすることを通じて,学校・園の研究を支えています。保護者や地域のみなさまにも「先生は研究している」ことをご理解いただき,「研究する先生」をぜひ応援していただければと思います。
(学校運営協議会長 山森光陽)

