TeXRelay 利用者マニュアル
Sep 26, 2026 · @Koyo Yamamori
1. TeXRelay とは
Dropbox に置いた LaTeX のフォルダを,ブラウザでそのまま PDF にする研究室のツールです(https://texrelay.educpsychol.com/)。lualatex+biblatex(biber)で組みます。
ファイルは Dropbox のままです。 TeXRelay は自分の中にファイルを持ちません。ブラウザがあなたの Dropbox を直接読み書きし,コンパイルのときだけフォルダを丸ごとサーバに送って PDF を作り,作り終えたら消します。ローカルの Dropbox フォルダを VSCode や TeXShop で編集しても,ブラウザで編集しても,同じファイルです。
Overleaf と違う点は4つです。
- プロジェクトの外を参照できる:別フォルダにある bib,図,
.texを「外部ファイル」として指定すれば取り込んでコンパイルします(8章)。研究室共通のスタイルと文献リストは何も指定しなくても使えます。 - 編集はどこでしてもよい:ローカルで編集してコンパイルだけ任せる「コンパイル限定モード」があります(5章)。
- 共同編集は同時ではなく順番に:編集できるのは一度に1人。編集権(バトン)を受け渡して交代します(6章)。同時編集で行がずれて迷子になることがありません。
- ブラウザのエディタもある:CodeMirror ベースで,
\citeや\refの補完,見出しツリー,エラー行へのジャンプが付いています。
2. 立場別の始め方
使える機能は誰でも同じです。違うのは入り方だけです。
学生(ゼミ・大学院)
- まずゲストで触ってみる:日本大学経済学部教育心理学研究室の担当教員からゲストコード(例:
3F1A-9C0B-77E2)を受け取り,ログイン画面の下の欄に入れて「ゲストとして試用」。Dropbox は不要です。サンプルプロジェクト(研究室スタイルと文献リストを使った文書)が自分専用に複製され,編集とコンパイルを一通り試せます。ゲストは 48 時間で消え,容量 20MB,コンパイル 1 日 30 回まで。作ったものは残らないので,必要なら「PDFをダウンロード」で手元に保存してください。 - 本登録:Dropbox のアカウント(無料で可)を作り,そのアカウントのメールアドレスを日本大学経済学部教育心理学研究室の担当教員に伝えます。許可リストに登録されたら「Dropboxでログイン」が使えます。大学のメールと Dropbox のメールが違う人はご注意(Dropbox 側のメールで照合します)。
- プロジェクトに入る:共同で書く場合は,Dropbox の共有フォルダに招待されます。招待を受け入れた時点で,TeXRelay の「Dropboxから開く」にそのフォルダが見えます。自分だけの原稿なら,自分の Dropbox のどのフォルダでもプロジェクトにできます。
共同研究者
- Dropbox アカウントのメールアドレスを日本大学経済学部教育心理学研究室の担当教員に伝え,許可リストに登録してもらいます。
- 原稿のフォルダを Dropbox で共有します(どちらが持ち主でも構いません)。共有フォルダのメンバー全員が同じプロジェクトを開けます。
https://texrelay.educpsychol.com/を開き「Dropboxでログイン」。初回は Dropbox の許可画面が出ます(ファイルの読み書きとアカウント情報)。許可した権限は Dropbox の設定画面からいつでも取り消せます。
どちらの場合も,ログインは 1 人 1 セッションです。別のブラウザや端末でログインすると,前のセッションは切れます。同時にログインできる人数にも上限があり(既定 6 人),20 分操作がないと席を空けます。
3. 画面の見方
上にヘッダー,下にペイン(タブで入れ替え・ドラッグで配置変更ができる小窓)が並びます。
ヘッダー(左から)
| 要素 | 役割 |
|---|---|
| ≡ | プロジェクト一覧に戻る |
| プロジェクト名 | マウスを乗せると Dropbox 上のパス |
| エディタあり/コンパイル限定 | モード切替(5章) |
| ★ main.tex ▼ | メインファイルの選択(4章) |
| 保存 | 開いているファイルを Dropbox に書く(Ctrl/Cmd+S) |
| コンパイル | 実行中は赤い「中止」に変わる |
| PDFをダウンロード | 直近の PDF を手元に保存 |
| PDF→Dropbox:送る/送らない | コンパイル後の PDF をメインと同名でプロジェクトフォルダに上書き保存するかの切替(自分だけの設定。7 章) |
| Dropboxから再読み込み | 開いているファイルを Dropbox の最新の内容で読み直す。ローカルや他のメンバーがファイルを変えると赤枠で「変更あり」と出る(自分の保存では出ない。ファイル一覧は自動で更新される) |
| 状態表示 | 保存状態/コンパイル状態/接続状態 |
| 名前(略称) | ログイン中の自分 |
| 設定 | 個人 bib,このプロジェクトの外部ファイル(8章) |
| レイアウト初期化 | ペインの配置を初期状態に戻す |
| ログアウト | セッションを終了 |
ペイン
- ファイル:プロジェクトフォルダのツリー。
.aux.logなどの中間ファイルは隠しています。右クリックで新規ファイル・フォルダ・削除・メインに設定(編集権があるときだけ)。★がメインファイル。ツリーの下の「🔗 外部ファイル」には,このプロジェクトが取り込む外部ファイル(8.2)と自分の個人 bib(8.3)が並びます。.bib や .tex はクリックすると読み取り専用のタブ(🔗)で開きます。PDF と画像はプレビューで開きます。URL は ↗ 印で,クリックするとブラウザの別タブで開きます。取得できないものは取り消し線と「取得不可」が付くので,パスの変更などに気づけます。外部ファイルの中身は,元の場所(ローカルの Dropbox フォルダなど)で編集してください。一覧は「Dropboxから再読み込み」で最新になります。 - 見出し:
\sectionなどのツリー。クリックでその行へ。「\input をたどる」を入れるとメインから読み込まれるファイルをまたいで全体を表示します。 - エディタ:開いたファイルがタブで並びます。編集権がないときは「閲覧ビュー」(読み取り専用)。ツリーで .pdf や画像(.png .jpg .svg)をクリックすると,同じタブ列に「👁 ファイル名」のプレビュータブが開きます(PDF はブラウザの PDF ビューア)。
- ログ:コンパイル結果のエラー・警告。クリックで該当行へ。「全文」で生のログ。
- メンバー:いまこのプロジェクトを開いている人と,誰が編集権を持っているか。
エディタの左右分割:エディタのタブ列の右端にある「◫ 左右に分割」ボタン(ファイルを開いていなくても表示されます)を押すと,右側に 2 つ目のエディタ(「エディタ(右)」)が開きます。ファイルツリーから開いたファイルは,最後にクリックした側のエディタに表示されます(分割した直後は右側)。本文と \input した章,本文と bib,tex と PDF プレビューを並べて見るのに便利です。同じファイルを左右両方に開くことはできず,すでに開いているファイルを選ぶとそちらのタブに移ります。「分割を解除」を押すか右側のペインを × で閉じると,右に開いていたファイルは左のタブ列に戻ります(未保存の内容も保たれます)。分割の状態もペインの配置と一緒に保存されます。Ctrl/Cmd+S はカーソルのあるファイルを,ヘッダーの「保存」は左右すべての未保存ファイルを保存します。
ペインの配置はモードごとに自動保存され,次回も同じ配置で開きます。
4. プロジェクトを開く・メインファイル
プロジェクト=Dropbox のフォルダ 1 つです。ログイン後の画面に「最近のプロジェクト」が並び,初めてのフォルダは「Dropboxから開く…」で選びます(共有フォルダには 👥 が付きます)。フォルダを移動や改名しても同じプロジェクトとして認識されます(フォルダの ID で識別)。
フォルダの中には、メインの .tex,\input するファイル,図,プロジェクト固有の bib やスタイルを入れます。サブフォルダは自由です。コンパイル時はフォルダごと送られるので,巨大なデータや動画は別フォルダに置いてください(上限 200MB)。
メインファイル
コンパイルする .tex は次の順で決まります。上にあるものが優先されます。
- ヘッダーのドロップダウンで選んだもの
- 開いているファイルの冒頭 20 行にある
% !TEX root = main.tex .texapp.jsonのmain(ファイルツリーで右クリック→「メインに設定」で書かれます)- 自動検出:
\documentclassを含む.texが 1 つだけならそれ。複数あれば選択ダイアログが出ます
スライドと配布資料のようにメインが複数あるプロジェクトでは,ドロップダウンで切り替えてコンパイルします。
.texapp.json
プロジェクト直下に置く小さな設定ファイルで,Dropbox で同期されるのでメンバー全員に同じ設定が効きます。普段はアプリが書くので手で触る必要はありません。
{
"main": ["paper.tex"],
"forceEditorMode": false,
"attach": ["/biblio/biblatex.bib", "/figures"]
}
5. 2つのモード
ヘッダーで切り替えます。自分だけの設定で,他のメンバーには影響しません。
| エディタあり | コンパイル限定 | |
|---|---|---|
| こんな人に | ブラウザで書きたい。ローカルに TeX 環境がない | VSCode や TeXShop で書きたい。ローカルに日本語フォントや biber がない,あるいは研究室スタイルを手元に揃えたくない |
| エディタ | 編集可(編集権があるとき) | 閲覧ビューのみ(読めるが書けない) |
| 編集権 | 取得できる | 持たない(他の人の邪魔をしない) |
| コンパイル | できる | できる |
| 見出し・ログ | ある | ある(見出しから VSCode で開くリンクも使える) |
コンパイル限定モードの使い方:ローカルの Dropbox フォルダを普段のエディタで編集して保存 → Dropbox が同期 → TeXRelay のヘッダーが「変更あり」になる → 「コンパイル」。「コンパイル」を押すと,送る前に自動で Dropbox の最新状態を読み直すので,「Dropboxから再読み込み」を押さなくても結果は最新です。外のエディタで新しく作ったり改名したりした直後のファイルは,Dropbox の同期が終わるまで数十秒見つからないことがあります(「〜がDropboxにまだありません」と出たら少し待って再度コンパイル)。
設定の「Dropboxのローカルルート」(例:/Users/you/Dropbox)を入れておくと,見出しツリーからその行を VSCode で開くリンクが使えます。
プロジェクトによってはコンパイル限定モードが禁止されていることがあります(.texapp.json の forceEditorMode)。ゲストは常にエディタありです。
6. 編集権バトン(共同編集の流儀)
1 つのプロジェクトを同時に編集できるのは 1 人です。他の人は閲覧(とコンパイル)だけ。Overleaf のように二人が同じファイルを同時に書くことはできませんが,その代わり自分が書いている行が他人の編集でずれていくこともありません。
基本の流れ
- エディタありモードでプロジェクトを開く。誰も編集していなければ自動で編集権が付きます(メンバー欄に「編集中」)。
- 誰かが編集中なら閲覧で開きます。メンバー欄の「編集権を依頼」を押すと,相手に通知が出ます。
- 相手が「譲渡」を選ぶと,相手の未保存の内容が自動保存されてから編集権がこちらに移ります。こちらの画面は最新の内容に読み直されてから編集可能になります。
- 相手が「保留」を選ぶと,依頼は待ち行列に残り,相手が編集を終えたときに自動で回ってきます。
- 自分が編集を終えたら,メンバー欄の「編集権を手放す」。待っている人がいればその人に自動で渡ります。
自動で起きること
- 10 分間操作がないと編集権は自動で解放されます(未保存分は自動保存)。離席するときは手放してから。
- タブを閉じる/ログアウトすると解放されます。
- 依頼に 60 秒応答がないと「保留」扱いになります。
ローカルで編集する人がいる場合
バトンは TeXRelay の中だけの仕組みです。ローカルのエディタで直接 Dropbox のファイルを書く人はバトンを通らないので,ブラウザで編集中の人と衝突し得ます。その場合,ブラウザ側の保存時に「Dropbox 側が変わっています」と衝突ダイアログが出て,どちらを残すか選べます(Dropbox は両方を履歴に残すので完全には消えません)。共同プロジェクトでは「ローカルで書く人も TeXRelay を開いて編集権を取ってから書く」と決めておくと衝突しません(コンパイル限定モードでは編集権を取れないので,このときはエディタありにしておく)。
7. コンパイルと PDF,ログの読み方
「コンパイル」を押すと,ブラウザが Dropbox からフォルダを取得→中間ファイルを除いて zip → サーバへ送信→使い捨てのコンテナで latexmk -lualatex(biber も自動)→ PDF が別タブに出ます。別タブは押した瞬間に開き(ポップアップブロックを避けるため),進行状況を表示したあと PDF に変わります。そのタブは開いたままにしておくと,次のコンパイルでも同じタブが更新されます。
所要時間の目安:論文 4 ページで 20 秒前後,beamer 25 枚で 30 秒前後,A1 ポスターで 1 分前後。上限は 120 秒で,超えると打ち切られます。同時にコンパイルできるのはサーバ全体で 1 件なので,混んでいると「待機中 N 番目」になります。実行中はボタンが赤い「中止」になり,押すと止まります。
状態表示の意味
| 表示 | 意味 |
|---|---|
| 完了 | エラーなしで PDF ができた |
| PDF生成(エラーあり) | エラーはあったが PDF はできた。該当箇所が欠けたり崩れたりしている可能性があるのでログを見る |
| 失敗 | PDF ができなかった |
| 取消 | 中止した,または新しいコンパイルに置き換えられた |
ログペイン
ログの上の水色の帯には,Dropbox とのやりとりが最新 4 件まで出ます。「コンパイルに送信」はメインと直近に更新されたソース(最大 3 つ)を,「Dropboxから更新」はローカルや他のメンバーの保存を読み込んだファイルを,それぞれ「Dropbox上の最終更新 12秒前・19:47:03」のように示します。この時刻はファイルが Dropbox のサーバに届いた時刻なので,手元で保存したはずの内容が古い時刻のままなら,まだ同期が終わっていません(メニューバーの Dropbox アイコンが緑のチェックになるのを待って再度コンパイル)。エラー(赤)と警告(黄)をファイル名と行番号付きで並べます。クリックするとエディタのその行に飛びます。よく見るもの:
- **
File 'xxx' not found**:ファイルが無い。大文字小文字違いや絶対パスのときはヒントが付きます(9章)。 - **
Undefined control sequence**:パッケージの読み忘れかタイポ。 - 縦にはみ出し(Overfull \vbox):ポスターやスライドでページ下端が切れているサイン。
- biber: …:文献側のエラー(引用キーが bib にない,bib の構文ミス)。
- メモリ不足で強制終了:図が多すぎるか大きすぎる。図を縮小するか管理者に相談。
「全文」で latexmk の出力,.log,.blg をそのまま読めます。ログの冒頭に texapp: で始まる行があれば,アプリからのお知らせです(プロジェクト内のファイルが公式スタイルと同名で公式が優先された,外部ファイルを取得した/できなかった,など)。
PDF の保存先
既定では PDF は Dropbox には書き戻されません。サーバに 30 分だけ残り,「PDFをダウンロード」で手元に保存できます。
ローカルの latexmk と同じようにフォルダに PDF を置きたいときは,「設定」の「コンパイルしたPDFをプロジェクトフォルダに保存する」をオンにします。コンパイルが成功するたびにメインと同名の .pdf(paper.tex → paper.pdf)を上書きします。前の版は Dropbox の履歴に残ります。この PDF は「前回の出力」として次のコンパイルには送られないので,送信サイズは増えません。共有フォルダでは他のメンバーにも PDF が見えることになるので,そのつもりでオンにしてください。
画面の中で PDF を見る(Overleaf 風の使い方)
「PDF→Dropbox:送る」にしておき,ファイルツリーに現れた paper.pdf をクリックすると,エディタのタブ列に「👁 paper.pdf」が開きます。このタブを開いたままコンパイルすると,完了時に新しい PDF に自動で入れ替わります。別タブを行き来したくない人はこの使い方が楽です(別タブも従来どおり開きます)。図の .pdf や .png も同じようにクリックで確認できます。
8. プロジェクト外のファイル
コンパイルに送られるのはプロジェクトフォルダの中だけです。../ で親フォルダを参照しても,/Users/… のような自分の Mac のパスを書いても,サーバには存在しません。代わりに 3 つの仕組みがあります。
8.1 研究室共通(何もしなくてよい)
管理者が登録したものは全プロジェクトで自動的に使えます。
- 公式スタイル:日本心理学会式の biblatex スタイルなど。
\usepackage[backend=biber,style=jpa]{biblatex}のように名前だけで指定します。プロジェクトにbiblatex/jpa.bbxをコピーしておく必要はありません。 - 研究室文献リスト:
\addbibresource{biblatex.bib}と書けば見つかります(../../../biblio/biblatex.bibのようなパスは不要)。 - 共通図ライブラリ:研究室の
figuresフォルダの図を\includegraphics{Bangert_d.pdf}のようにファイル名だけで使えます。
プロジェクト内に同名のファイルがあるときは公式スタイルが優先され,ログにその旨が出ます。自分で改造したスタイルを使いたいときは別の名前にしてください。
8.2 このプロジェクトの外部ファイル(.texapp.json の attach)
自分の別フォルダにある bib,図のフォルダ,別の原稿の .tex などをプロジェクトに紐付けます。同じプロジェクトを開く全員に効きます。
- エディタありモードで編集権を取る。
- ヘッダーの「設定」→「このプロジェクトの外部ファイル」。「Dropboxから選ぶ…」でファイルをクリック,またはフォルダごと追加。直接 1 行 1 つで書いてもよい(Dropbox の絶対パス,または
https://の URL)。 - 保存。
文書側はファイル名だけで書きます:\addbibresource{refs.bib},\includegraphics{fig1.pdf},\input{011_Intro}。フォルダを追加した場合も中のファイルを名前だけで参照できます(サブフォルダも探します)。コンパイルのたびに取得し直すので,元のファイルを直せば次のコンパイルに反映されます。取得できなかった項目はログに警告として出ます(コンパイルは続行)。添付分も送信上限 200MB に含まれるので,図フォルダが大きい場合は必要な図だけのフォルダにするか,管理者に共通図ライブラリへの登録を相談してください。
他の人の Dropbox にあるファイルも使えます。相手がフォルダを共有(メンバーとして招待)していれば自分の Dropbox に見えるのでパスで指定。共有リンク(「リンクを知っている人は閲覧可」)をもらっただけのときは,そのリンク(https://www.dropbox.com/scl/fi/…)をそのまま 1 行として書きます(dl=0 のままでよい)。相手がリンクを無効にすると取得できなくなります。
Web サーバーに置いたファイルも同じです。https://lab.educpsychol.com/…/refs.bib のような URL を 1 行書けば,コンパイルのたびに取得されます。条件は「認証なしで開ける HTTPS の URL」であること(Basic 認証やログインが要るページ,http:// は不可)。zip なら展開されるので,bib と図をまとめて置くこともできます。TeXRelay のサーバ自体に利用者がファイルを置く経路はありません(研究室全体で使うものは管理者が 8.1 の形で登録します)。
まとめると,bib の置き場所は 4 通り:
| 置き場所 | やること |
|---|---|
| プロジェクトフォルダの中 | 何もしない(\addbibresource{refs.bib}) |
| 自分/共有フォルダの別の場所 | 外部ファイルに Dropbox のパスを追加(8.2),または個人 bib(8.3) |
| Dropbox 共有リンク/Web の URL | 外部ファイルに URL を追加(8.2) |
| 研究室共通 | 管理者が登録済み。\addbibresource{biblatex.bib} だけ(8.1) |
8.3 個人 bib(自分だけの設定)
「設定」の「個人 bib」に Dropbox 上の .bib のパスを書くと,自分がコンパイルするときだけ同梱されます。どのプロジェクトでも自分の文献リストを使いたい人向け。共同プロジェクトでは他の人のコンパイルには入らないので,共同で使う bib は 8.2 の方で登録してください。
どの方法でも,添付した bib の引用キーはエディタの \cite{ 補完に出てきます。
9. 文書側の書き方の注意
サーバは Linux で,フォントも Mac とは違います。手元で通っていたファイルが通らないとき,原因はほぼ次のどれかです。
- 大文字小文字:Mac は
fig/a.pngでFig/a.pngを開けますが,サーバは開けません。フォルダ名・ファイル名は実際の表記どおりに。ログに「大文字小文字が違います」とヒントが出ます。 - **絶対パスと
../**:/Users/koyo/Dropbox/figures/x.pdfや../../biblio/x.bibはサーバにはありません。プロジェクト内の相対パスにするか,8 章の仕組みでファイル名だけにします。 - フォント:ヒラギノ(
hiragino-pronなど)は macOS 付属でサーバに置けません。\usepackage[haranoaji,deluxe]{luatexja-preset}にしてください(Overleaf と同じ)。使える和文フォント:原ノ味(haranoaji),IPA/IPAex,Takao,Noto Sans/Serif CJK。それ以外は.ttf/.otfをプロジェクトに入れてファイル名で指定するか,管理者に依頼。 - エンジンは LuaLaTeX 固定:pLaTeX 専用のパッケージ(
pxjahyperなど)はエラーになります。LuaLaTeX では不要なので外してください。 - **beamer の
[fragile]**:フレーム内で\newcommandに#1を使うときは\begin{frame}[fragile]。 - beamerposter のはみ出し:ポスターの下が切れるのは
scale=の値で調整します。ログの「縦にはみ出し」が目安。 \begin{itemize}の中に\itemなしの本文:missing \itemエラー。手元では見過ごされていたものがログに出ます。- 中間ファイル:
.aux.bbl.logなどは送られないので,毎回クリーンな状態から組みます(結果は安定しますが,手元の古い.bblに頼っていた文書は通らなくなります)。同名の.texがある.pdfも前回の出力とみなして送らないので,図の PDF は.texと同名にしないでください。 - シェルエスケープ無効:
\write18,minted,gnuplotなど外部コマンドを呼ぶものは使えません。ネットワークも遡断されています。
10. 困ったとき
| 症状 | 原因と対処 |
|---|---|
| 「このアカウントは許可リストにありません」 | Dropbox に登録しているメールと,管理者に伝えたメールが違う。Dropbox のアカウント設定でメールを確認して管理者へ |
| 「Dropboxのメールアドレスが未確認です」 | Dropbox 側でメール確認を済ませる |
| プロジェクトが一覧に出ない | 共有フォルダの招待を受け入れていない。Dropbox の「共有」を確認 |
| 「Dropboxの認可が切れました」 | もう一度 Dropbox でログイン。編集中の内容はブラウザに残っています |
| ログインしたら別の端末が切れた | 1 人 1 セッションの仕様。同時に使う必要がある場合は管理者へ |
| 「同時ログイン数の上限」 | 席が埋まっている。誰かがログアウトするか 20 分無操作で空く |
| 「実行中」のまま進まない | サーバとの接続が切れた(Wi-Fi 切替など)。数秒で自動復旧します。戻らなければページを再読み込み |
| 「Failed to fetch」 | 60MB 級のプロジェクトをモバイル回線で送っているときに起きやすい。安定した回線で再試行 |
| 「zipが上限を超えています」 | 大きいファイル名がメッセージに出ます。不要なデータ・動画・古い PDF を別フォルダへ |
| 「PDF生成(エラーあり)」 | PDF はできている。ログの赤い項目を上から潰す |
引用が [Author2020] のように未解決 | bib が見つかっていないかキーが無い。ログの biber の行を見る。\addbibresource のパスは 8 章の書き方に |
| 図が枠だけになる | File not found。パスと大文字小文字(9 章) |
| 編集できない(閲覧ビュー) | コンパイル限定モードか,他の人が編集権を持っている。メンバー欄を確認 |
| 保存時に衝突ダイアログ | ローカルか他の人が同じファイルを先に変えた。どちらを残すか選ぶ。Dropbox の履歴に両方残っています |
| ペインを閉じてしまった | ヘッダーの「レイアウト初期化」 |
解決しないときは,ログの「全文」をコピーして管理者(日本大学経済学部教育心理学研究室の担当教員)に送ってください。サーバ側にも 30 分間は同じログが残っています。

