publist 利用マニュアル

Oct 20, 2026 · @Koyo Yamamori

概要

publist は,NDC や件名で指定した分野の和図書について,出版年ごとの点数の推移,各年に刊行された書籍の書誌,近刊・新着を調べる Web アプリです.URL は https://publist.educpsychol.com/ で,ログインは不要です.

データはすべて国立国会図書館サーチの API から取得します.

用途データ(dpid)内容
点数の集計,書誌一覧全国書誌(iss-ndl-opac-national)国内で刊行され,国立国会図書館が書誌を作成し終えた資料
点数の集計,書誌一覧,新着新着書誌(iss-ndl-opac-inprocess)納本後約 4 日で公開される,作成中の書誌
近刊JPRO 近刊情報(jpro-book)出版社が出版情報登録センターに登録した紙の書籍の情報.刊行予定を含む

画面は「年次推移」と「近刊・新着」の 2 つのタブに分かれています.初期値は教育評価・測定(NDC 371.7,375.17)です.

年次推移:点数を集計する

「年次推移」タブで集計条件を指定し,「集計」を押します.

項目指定するもの初期値
対象 NDC数えたい分野の NDC.カンマ区切りで複数指定すると合計します.前方一致なので,371.7 とすると 371.7 以下の細目も含みます.入力欄の下のリンクから NDCナビで分類を調べられます371.7, 375.17
件名頭健性の確認に使う件名(部分一致).空欄にすると数えません教育評価
出版年集計する年の範囲2000〜今年
各年の集計期間「通年」か「1月〜指定月」.後者では,どの年も同じ月までを数えます1月〜(今月の 2 か月前)
書誌の範囲全国書誌(完成分)と新着書誌(作成中)のどちらを数えるか.新着書誌は直近 3 年の分だけ数えます両方
分母:上位分野 NDC割合を出すときの分母にする NDC.カンマ区切りで合計します37(教育)
分母:NDC 付与の全図書NDC 0〜9 の合計を分母にした割合を出すか出す

集計中は進捗バーと件数が表示され,「中止」で止められます.問い合わせは 1 年あたり最大で約 30 回あるので,27 年分を初めて集計すると数分かかります.取得済みの件数は保存されるので,2 回目以降は数秒で終わります.条件を試すときは,分母の「NDC 付与の全図書」を外すと速くなります.

結果の読み方

集計が終わると,上から順に「位置づけ」,3 つのグラフ,集計表が表示されます.

位置づけ

最新年の値を,その前 10 年の同じ期間の値と比べます.点数(NDC),上位分野に占める %,全図書 1 万点あたり,点数(件名)のそれぞれについて次の値を示します.

表示意味
過去平均(SD),z前 10 年の平均と標準偏差.z = (最新年 − 平均)÷ SD
トレンド予測前 10 年に直線を当てはめ,最新年まで延ばした値
実測/予測1 を超えるほど,増加傾向から見込まれる値より多い
残差 zトレンド予測からのずれを,前 10 年の当てはまりのばらつきで割った値
全 N 年中の順位集計した全期間のなかで,値が大きいほうからの順位

「この 1 年は多い」と書くには,z だけでなく残差 z を見ます.点数が長期的に増えている分野では,平均より多いのは当然だからです.点数は出版全体の増減にも左右されるので,割合の行も併せて確かめます.

グラフと集計表

グラフは「点数」「上位分野に占める割合」「全図書 1 万点あたり」の 3 つです.点にマウスを重ねると値が出ます.登録遅れで少なく出ている可能性がある最新年は,グラフでは点線,表では薄い文字になります.そのときは集計条件の下に黄色い注意も出ます.

集計表の「CSV 保存」で,表を Excel で開ける CSV(UTF-8,BOM 付き)として保存できます.期間,書誌の範囲,取得日の列も付くので,論文に引用するときの記録になります.

書誌一覧:その年に出た本を見る

年次推移タブのいちばん下にあります.上の集計条件(対象 NDC,件名,各年の集計期間,書誌の範囲)をそのまま使い,指定した年に刊行された書籍の書誌を表示します.点数の集計を先にしておく必要はありません.

  1. 年を選ぶ.集計表の出版年をクリックしても,その年で一覧が開きます.
  2. 件名で見つかる本も加えるときは,「件名の該当も含める」にチェックを入れる.
  3. 「表示」を押す.
  4. 関係のない本は行頭のチェックを外す.見出しの件数はチェックが入った本だけを数えます.
  5. 必要なら「CSV 保存」で保存する.チェックの有無は「対象」の列に 1/0 で入ります.

表の列は,刊行日,書名(シリーズ名),責任表示,出版者,形態,NDC,件名,ISBN,ヒット条件です.書名は国立国会図書館サーチの書誌ページへのリンクです.複数の条件で見つかった本は ISBN で 1 行にまとめ,「ヒット条件」にどの条件で見つかったかを並べます.「(新着)」が付いているのは作成中の書誌から見つかった本です.

集計表と同じ条件で表示したときは,集計表の点数と,NDC で取得した書誌の件数を並べて表示します.書誌の件数のほうが少ないのは,2 つの NDC にまたがる書誌を集計では 2 回数え,一覧では 1 行にまとめるためです.

近刊・新着:これから出る本と出たばかりの本

「近刊・新着」タブでは,データの種類と刊行(予定)日の範囲を選び,検索条件を書いて「検索」を押します.

データ使いどころ日付の初期値
近刊(JPRO 出版情報,紙書籍)これから刊行される本今日から約 6 か月後まで
新着(NDL 作成中の書誌)納本されたばかりの本約 4 か月前から今日まで
全国書誌(完成分)書誌が完成した本約 4 か月前から今日まで

検索条件の書き方

1 行に 1 つ,項目=語 の形で書きます.行ごとに別々に検索し,結果を ISBN でまとめます(行どうしは OR の関係です).

項目対象一致方式
ndc分類前方一致
title書名部分一致
subject件名部分一致
description内容紹介・注記部分一致
creator著者部分一致
publisher出版者部分一致
anywhereすべての項目部分一致

近刊情報には NDC が付いていないか,仮の値であることが多いため,初期値では NDC に加えて書名,件名,内容紹介も検索しています.分野を変えるときは,その分野の書名によく出る語を行に足してください.

結果の扱い

結果は刊行(予定)日の順に並び,見出しに件数,その下に月別の件数が出ます.書名の部分一致では分野の外の本も入るので,関係のない本はチェックを外してください.書誌一覧と同じく CSV に保存できます.

注意点と限界

点数は「国立国会図書館がその NDC を付けた書誌の数」であり,分野の出版点数そのものではありません.論文で使うときは,次の点を方法に書き添えてください.

  • 登録遅れ: 納本は刊行後 30 日以内で,その後に書誌が作られます.期間の終わりから 3〜4 か月経つまでは点数が少なく出ます.今年を過去と比べるときは「1月〜指定月」を使い,指定月を 2〜3 か月前にします.
  • NDC の付け方: 同じ内容の本でも,分類担当者の判断で別の NDC に入ることがあります.教科教育のなかの評価(375 以下の各教科)などは漏れやすいので,件名での点数も併せて見ます.
  • 全国書誌の範囲: 国内刊行物に限られ,洋書や博士論文は含みません.国会図書館の全蔵書(iss-ndl-opac)で数えた値とは一致しません.
  • NDC の重複: 複数の NDC を指定すると,両方に該当する書誌は点数で 2 回数えられます.正確な実数が必要なときは書誌一覧の件数を使います.
  • 500 件の上限: 書誌一覧と近刊・新着では,1 つの条件につき 500 件までしか取得できません.超えた場合は「上限で打ち切り」と表示されるので,期間を短くするか NDC を細かくします.点数の集計にはこの上限はありません.
  • 近刊情報の網羅性: JPRO に登録しない出版社や,刊行直前にしか登録しない出版社の本は出てきません.登録内容が実際の刊行と変わることもあります.近刊の件数を過去の点数と比べることはできません.
  • 利用条件: 全国書誌と新着書誌は CC BY です.JPRO のデータは非営利利用なら申請不要ですが,営利利用には申請が必要です(データプロバイダ一覧).

管理者向け

アプリは研究室の VPS(162.43.43.174)上で,nginx が配信しています.ブラウザからは国立国会図書館の API を直接呼ばず,同じサイトの /api/sru を nginx が中継します.

ファイル役割
/var/www/publist/index.htmlアプリ本体(1 ファイル)
/etc/nginx/sites-available/publist.educpsychol.comサイトの設定./api/sru だけを中継し,それ以外の /api/ は 404
/etc/nginx/snippets/ndl-proxy.conf中継の設定.GET のみ,このサイトからの Referer のみ許可,応答を 1 日キャッシュ
/etc/nginx/conf.d/ndl-cache.confキャッシュ領域(/var/cache/nginx/ndl,最大 200 MB,30 日使われなければ削除)

アプリの更新

index.html を差し替えるだけで,nginx の再読み込みは不要です.

scp -i ~/.ssh/xserver-vps.pem index.html root@162.43.43.174:/var/www/publist/

キャッシュ

件数と書誌は 2 か所に保存されます.

  • 利用者のブラウザ: 過去年は 30 日,直近 2 年と近刊・新着は 1 日で取り直します.画面下の「設定・キャッシュ」から消去できます.
  • VPS(nginx): 同じ問い合わせを 1 日保持します.消すときは rm -rf /var/cache/nginx/ndl/* を実行します.

トラブル対応

症状原因と対処
「接続できません(CORS またはネットワーク)」index.html を手元で直接開いている.URL から開く
HTTP 403Referer が届いていない.ブラウザの拡張機能が Referer を消していないか確かめる
HTTP 502 / 504国立国会図書館側の混雑か障害.自動で 4 回まで再試行する.続くときは時間を置き,/var/log/nginx/error.log を見る
SRU エラー検索条件の書式の誤り.表示された query を確かめる
書誌一覧の列が空欄書誌データの構造が想定と違う.index.html の parseDcndl を直す

API の仕様は「国立国会図書館サーチ 外部提供インタフェース仕様書」にあります.