検索練習の実験
背景

- 検索練習 (Retrieval practice) は学習効果が高いことが多くの研究で明らかとなっている。
- Rivers et al. (2025) は,再学習,心の中で想起するだけの潜在的検索練習(covert),筆記などで思考を外化する顕在的検索練習 (overt)とを比較し,再学習よりも潜在的検索練習,潜在的検索練習よりも顕在的検索練習の方が効果が高いことを示した。
- この背景には認知負荷が影響していると考えられ,再学習は2つの検索練習よりも課題内在的負荷(課題の難しさ),課題外在的負荷(課題とは関係のない余計な負荷),課題関連負荷(知識の付加や再構成のための処理に必要な負荷)のいずれも低いこと,潜在的検索練習は課題外在的負荷が高いこと,顕在的検索練習は課題内在的負荷,課題外在的負荷は中程度である一方で課題関連負荷が高いことが,このような結果につながったと考察している。
- しかし,この研究では認知負荷の測定はしていないため,これらのことを明らかにするのが今後の課題であると述べている。
実験

- Rivers et al. (2025) の実験1をやや改変した実験を,山森他 (2023) で用いられた機器の改良版を用いた皮膚コンダクタンスの測定も同時に行う。
- 実験は自作のwebアプリケーションで行う。実験実施後は結果の xlsx ファイルをローカルに必ずダウンロードする。
- 皮膚コンダクタンスの測定方法はこの文書に詳細が示されている。Processing で作成したアプリケーションを用いて測定値を記録し csv ファイルに保存する。
- 皮膚コンダクタンスを記録した csv ファイルは,自作の可視化アプリケーションを用いて可視化する。
- 可視化の際には,実験結果の xlsx ファイルを参考に,(1) 再学習:定義 → 用語で練習,(2) 再学習:用語 → 定義で練習,(3) 顕在的検索:定義 → 用語で練習,(4) 顕在的検索:用語 → 定義で練習,(5) 潜在的検索:定義 → 用語で練習,(6) 潜在的検索:定義 → 用語で練習,それぞれの時間帯を色分けする。
結果と考察
- 実験結果の再現
- 学習効果は,再学習 < 潜在的検索 < 顕在的検索 となるか。
- 再生率(正答率)の平均は,用語の再生よりも定義の再生の方が低くなる(後者の方が難しい)はずだが,学習方法(再学習,潜在的検索,顕在的検索)の間での差は定義の再生の方が大きくなるか。
- 認知負荷の検討
- 用語の再生よりも定義の再生の方が皮膚コンダクタンスが高く,定義の再生の方が認知負荷が高いと言えるか。
- 学習方法間では,再学習が潜在的検索,顕在的検索と比べて皮膚コンダクタンスが低く,認知負荷が低いと言えるか。
- 皮膚コンダクタンスは,課題内在的,課題外在的,課題関連的のうち,どの負荷を反映しやすいと考えられるか。
引用文献
Rivers, M. L., Northern, P. E., & Tauber, S. K. (2025). Does Retrieval Demand Moderate the Effectiveness of Covert Retrieval Practice? Comparing Covert and Overt Retrieval Practice for Learning Key Terms and Definitions. Educational Psychology Review, 37(3), Article 61. https://doi.org/10.1007/s10648-025-10040-4
山森光陽・長野祐一郎・徳岡大・草薙邦広・大内善広 (2023). 生理心理学的指標を用いた授業中の教師の認知負荷の把握. 日本教育工学会論文誌, 47(1), 127–139. https://doi.org/10.15077/jjet.46054


