教育心理学の論文を書く

論文の書き方

担当者の専門は教育心理学であるため,教育心理学における一般的な形式で執筆していただく。教育心理学における一般的な形式は,「問題」「目的」「方法」「結果」「考察」という流れである。各節は以下の条件を満たすようにすること。

  • 問題:これまでの研究史に基づき,明らかになっていることといないことを特定し,必要性の有無を判断し,問題を特定する。
  • 目的:特定された問題から,研究の目的を定義する。
  • 方法:研究目的を達成するために適合的な方法によってデータを収集するとともに,研究目的とデータの性質に見合った手法による分析を行う。
  • 結果:研究の目的に沿いつつ,主観を排して結果を提示する。
  • 考察:結果を研究目的に沿って解釈し,特定された問題に再投入して考察を行い,自身あるいは他者による次なる研究につなげる。
  • 引用文献:論文中で引用した文献の書誌情報を,決まった形で載せる。

なお,上記5項目のうち「目的」は,「問題と目的」といった節の小節に入れ込むことが一般的だが,書きやすさという観点から,あえて1節として設けたほうがよいと思われる。論文の構成で重要と考えられる点をいくつか挙げると,以下の通りである。

  • 研究の目的は「問題」の節において述べられた内容から導かれていること。
  • 研究の方法は目的と合致していること。
  • 結果は冗長ではないこと。
  • 考察は結果を目的に沿って解釈したうえで,問題の節において述べられた内容に立ち返って考察を行い,次の研究につながるような内容であること。

論文の形式,特に引用の形式と引用文献リストの作り方は,日本心理学会「執筆・投稿の手引き」に準じること。この手引き常に参照できるようにしておくこと。なお,このラボではLaTeXを利用しているため,引用形式を整えることや,引用文献リストを作ることについてはわりと楽である。

問題の設定

研究は,ある一本が独立して存在するのではない。現在に至るまでの当該学問における研究の流れの一部をなすものである。したがって,先行研究を丹念に整理し,どのようなことが明らかとなっているのかを概説した上で,どのような研究が必要なのかを指摘するところから始める必要がある。そのため,かなりの数の先行研究に目を通した上で,これらをまとめなければならない。その概略を示すと下図の通りとなる。すなわち,いくつかの先行研究を複数の段落にまとめたうえで,これらの段落を更にまとめる段落を起こすという手順をとることとなる。なお,一つの段落には一つの話題という原則(パラグラフライティング)を守ること。

上図のような流れで先行研究をレビューしながら問題を執筆することは,研究課題を絞り込んでいくという作業でもある。一本の研究で明らかにできることには限界があるため,大きな問題の中の一部分に焦点化して研究課題を設定する必要がある。また,研究課題が単なる思いつきで設定されるのではなく,このような流れで設定することで,これから実施しようとする研究の価値が高まるのである。

目的の設定

上記のように先行研究をレビューしながら問題を絞り込み,研究課題を特定したうえで,研究の目的を設定する。具体的に何を明らかにするのかを一段落で明解に記述すること(「本研究の目的は,・・・である。」など)。また,設定された目的の達成のために何をするのかをやや具体的に記述した段落(「そのために,・・・を検証する」など)を別に起こすと分かりやすい。

なお,目的を設定した時点で,結果をどのように示すのか,またどのような結果が得られれば良いのか,あらかじめ図表を想定して作っておくとよい。こうすることで,方法の節の記述がしやすくなる。